東京に宇宙船が舞い降りる――新国立競技場

 
(本ブログの「宇宙船や古墳みたいなデザインも――新国立競技場はこの中から選ばれる」の記事(2012年10月31日)の続き。)

国立競技場、1300億円で建て直し 英建築家案を採用」(日本経済新聞、2012年11月15日)より(下記)。

 新国立競技場の国際デザイン・コンクールで、英国の建築設計事務所ザハ・ハディド・アーキテクトが最優秀賞を射止めた。コンクールを主催する日本スポーツ振興センターが11月15日に審査結果を発表した。優秀賞はオーストラリアの建築設計事務所、コックス・アーキテクチャー ピーティーワイ エルティディ。入選は日本のSANAA日建設計だった。

(中略)コンクールは、東京都新宿区にある現在の国立競技場の建て替え案を募るもの。総工事費は解体費を除いて1300億円程度を見込む。完成は2018年度。19年のラグビー・ワールドカップ開催に間に合わせる。東京都が招致を目指す20年夏季五輪ではメーンスタジアムと位置付けている。8万人収容の全天候型競技場という条件で、基本構想を公募していた。

 審査は、建築家の安藤忠雄氏が委員長を務める審査委員会が担当した。9月25日までに国内12点、海外34点の計46作品が応募。10月16日に実施した1次審査では、国内4点、海外7点の計11点が通過した。最終審査は11月7日に実施していた。

 ザハ・ハディド・アーキテクトの代表者のザハ・ハディド氏は、ロンドンを拠点に活躍する女性建築家。1950年イラクバグダッド生まれ。曲線、直線、鋭角が織りなす流動的でダイナミックなデザインで知られる。かつては「建てた建築よりも、実現しなかったプロジェクトの方が有名」と言われたこともあったが、実績を重ね、04年に、「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を女性で初めて受賞した。(後略)

ついでに、ウィキペディアの「ザハ・ハディッド」の項からも少し引用すると、ザハ・ハディドは、「イラクバグダッド出身、イギリス在住の女性建築家。世界的に活動する建築家で、現代建築における脱構築主義*1の旗手の一人でもある。ベイルートアメリカン・ユニバーシティで数学を学び、さらにロンドンの(中略)AAスクールで建築を学んだ。卒業後に恩師であったオランダ人建築家、レム・コールハース*2の下で働くようになる。1979年に自分の事務所を構え、以来ロンドンを拠点として母校AAスクールでも教壇に立っている。(中略)2004年には女性初のプリツカー賞を受賞した。彼女は、ロシア構成主義*3の建築や美術の強い影響を受け、コンセプチュアルで空想的なものを現実空間に出現させ、見学・利用者に驚きを与えている。かつては、同じく脱構築主義者であるダニエル・リベスキンド同様に、実際の建築作品ではなく、建築思想の提唱者として、また過激なコンセプトを示した図面の製作者としてもっぱら知られていた。(後略)」との事です。「【速報!】 最優秀はザハ、優秀賞はコックス・新国立競技場国際コンペ」(日刊建設通信新聞社、2012年11月15日)も参照。

以上です。

前述の本ブログの「宇宙船や古墳みたいなデザインも――新国立競技場はこの中から選ばれる」の記事(2012年10月31日)では、「(前略)ネットでは、「宇宙船」(作品番号17)と、「古墳」(作品番号26)の案が人気があるようです。」と書いたのだけど、その「宇宙船」の案が最優秀賞に選ばれました。うーん。ま、僕の一押しの「古墳」の案ではなかったのだけど(ははっ…)、最優秀賞に選ばれたザハ・ハディドの案は、とてもパワフルでエネルギッシュで、今日までの「東京」のイメージを塗り替えてしまうくらいに鮮烈で、更に、私たちに新しい何か(変化)を予感させてくれる、大変、魅力的な案だと思います。また、このような“過激”な案を最優秀賞に選んだ、審査委員長の安藤忠雄もすごい方だと思います。この審査結果に関しては、ネットでは、概ね、大好評のようです。ではまた(ドタバタ)。

【追記】

ちなみに、新国立競技場の建設予定地はここです(下図)。一応、上図の「宇宙船」の案の図と比べると、“ビフォー・アフター”になっています。なんということでしょう!!(←大改造!!劇的ビフォーアフター*4風にw)

(追記(2012/11/29)。「【意外に知られていない】新国立競技場デザインコンペ最優秀賞ザハ・ハディド案のその他の画像――「宇宙船」でも「カブトガニ」でもない?」の記事も参照。)

*1:(僕の)別ブログの「やりかけの未来がある」の記事と、本ブログの「鉄道の未来学――2011年の鉄道とその未来」の記事参照(「脱構築主義」)

*2:レム・コールハース」に関しては、これまでに(ブログに)たくさん書いていて、ま、とりあえず、本ブログのここを参照(こらこらw)

*3:本ブログの「流れ星の家、土星の家、リボン付きのラートハウス」(と注釈6)の記事参照(「ロシア構成主義」)

*4:本ブログの「写真でみる田園都市レッチワースの移り変わり」、「マンハッタンのビフォー・アフター」、「彼らは何を「理想」としたのか――時代を超える9つのユートピア」注釈1、「【車載動画】高松駅〜高松西IC、高松駅〜屋島」の記事参照(「ビフォーアフター」)