【意外に知られていない】新国立競技場デザインコンペ最優秀賞ザハ・ハディド案のその他の画像――「宇宙船」でも「カブトガニ」でもない?


新国立競技場デザインコンペは(ネットでも)大注目された割には、意外に知られていない画像がある。では早速、載せる。

(1) 東側より見る。手前は明治神宮外苑の聖徳記念絵画館。右奥にNTTドコモ代々木ビル。

(2) 北西側の千駄ヶ谷駅より見る。

(3) 南側より見る。太陽が北側にある。。

(4) 内観。サッカー試合時。客席の可動スタンドが陸上トラックの上までせり出せる設計になっている。

(5) 内観。イベント時。屋根は開閉式。

(6) 北西側の空より見る。手前には建築家の槇文彦が設計した東京体育館

(7) 内観。オリンピック時。

(8) 南東より見る。夕暮れ時。左奥には新宿の超高層ビル群。

以上です。(画像は、「ザハ・ハディド・アーキテクト」の公式サイトより。)

〜と言うわけで、新国立競技場のデザインは、「宇宙船」でも「カブトガニ」でもありません。そもそも、建築家のザハ・ハディドは、「現代建築における脱構築主義の旗手の一人」で、この「脱構築主義」とは、特定の形式や先入観(イメージによる把握)等々を解体して、既知と未知の世界のエッジに挑戦するという中二病的(?)な思想なのでw、特定の何かに似ているようなデザインは絶対にしないのです。たとえ、この新国立競技場のデザインが「宇宙船」や「カブトガニ」のように見えたとしても、(前に本ブログの「津波の記憶を風化させないために出来る事は何か――津波と船と建築」の記事でも書いたように)、それは「偶然」でしかないのです。

言い換えると、人間が何かを解釈する時の「意識の流れ」(例えば、四角い建築は理性的である、スーツを着ている人は真面目である、人相が悪い人は悪人である、愛に満ちた言葉をツイートする人は愛に満ちた人である、国民の生活が第一であるとマニフェストに掲げている政治家は素晴らしい政治家である、等々)を疑って撹拌して、こうした安易に陥りがちな解釈の「向こう側」にあるかも知れない真正な世界へと至る扉の取っ手となるような新しい形(造形)を探求する、という思想に基づいているのです。と言うわけで、新国立競技場のデザインが何に見えるか(何に似ているか)を言い当てようとする人間の「意識の流れ」そのものをまず疑ってみて下さい。そしてその後で、この新国立競技場のデザインの一つ一つの造形を丹念に観察すると……、やっぱり「宇宙船」ですね、僕にも「宇宙船」にしか見えません(おいおいw)。ではまたw。

関連して、前に書いた、本ブログの「東京に宇宙船が舞い降りる――新国立競技場」(2012年11月15日)の記事と、「宇宙船や古墳みたいなデザインも――新国立競技場はこの中から選ばれる」(2012年10月31日)の記事も参照。