【意外に知られていない】新国立競技場デザインコンペ最優秀賞ザハ・ハディド案のその他の画像――「宇宙船」でも「カブトガニ」でもない?


新国立競技場デザインコンペは(ネットでも)大注目された割には、意外に知られていない画像がある。では早速、載せる。

(1) 東側より見る。手前は明治神宮外苑の聖徳記念絵画館。右奥にNTTドコモ代々木ビル。

(2) 北西側の千駄ヶ谷駅より見る。

(3) 南側より見る。太陽が北側にある。。

(4) 内観。サッカー試合時。客席の可動スタンドが陸上トラックの上までせり出せる設計になっている。

(5) 内観。イベント時。屋根は開閉式。

(6) 北西側の空より見る。手前には建築家の槇文彦が設計した東京体育館

(7) 内観。オリンピック時。

(8) 南東より見る。夕暮れ時。左奥には新宿の超高層ビル群。

以上です。(画像は、「ザハ・ハディド・アーキテクト」の公式サイトより。)

〜と言うわけで、新国立競技場のデザインは、「宇宙船」でも「カブトガニ」でもありません。そもそも、建築家のザハ・ハディドは、「現代建築における脱構築主義の旗手の一人」で、この「脱構築主義」とは、特定の形式や先入観(イメージによる把握)等々を解体して、既知と未知の世界のエッジに挑戦するという中二病的(?)な思想なのでw、特定の何かに似ているようなデザインは絶対にしないのです。たとえ、この新国立競技場のデザインが「宇宙船」や「カブトガニ」のように見えたとしても、(前に本ブログの「津波の記憶を風化させないために出来る事は何か――津波と船と建築」の記事でも書いたように)、それは「偶然」でしかないのです。

言い換えると、人間が何かを解釈する時の「意識の流れ」(例えば、四角い建築は理性的である、スーツを着ている人は真面目である、人相が悪い人は悪人である、愛に満ちた言葉をツイートする人は愛に満ちた人である、国民の生活が第一であるとマニフェストに掲げている政治家は素晴らしい政治家である、等々)を疑って撹拌して、こうした安易に陥りがちな解釈の「向こう側」にあるかも知れない真正な世界へと至る扉の取っ手となるような新しい形(造形)を探求する、という思想に基づいているのです。と言うわけで、新国立競技場のデザインが何に見えるか(何に似ているか)を言い当てようとする人間の「意識の流れ」そのものをまず疑ってみて下さい。そしてその後で、この新国立競技場のデザインの一つ一つの造形を丹念に観察すると……、やっぱり「宇宙船」ですね、僕にも「宇宙船」にしか見えません(おいおいw)。ではまたw。

関連して、前に書いた、本ブログの「東京に宇宙船が舞い降りる――新国立競技場」(2012年11月15日)の記事と、「宇宙船や古墳みたいなデザインも――新国立競技場はこの中から選ばれる」(2012年10月31日)の記事も参照。

多摩ニュータウン再生へ――住戸数を倍増させてみた

(追記(2013/10/26)あり) 

多摩ニュータウン再生へ マンション建て替え進む」(テレ朝news、2012年11月24日)のYouTube動画(→下の動画)より。メモ。


老朽化し、建て替え工事が進む多摩ニュータウンのマンションが公開されました。高齢化の進む街が生まれ変わろうとしています。

とりあえず、メモのみ(ドタバタ)。

場所はここです(下図)。下図の左上に前々回の「超絶発展する立川市――「逆都市化」する東京」の記事で載せた、「多摩都市モノレール線」と「多摩動物公園」があります。

建て替え工事後の完成予想図です(下図)。

上記の画像は、「ブリリア多摩ニュータウン」(東京建物)の公式サイトより。そのサイトによると、第1期〜第2期〜第3期(2次)までの総計617戸は、“即日完売”との事です。(ちなみに、第3期(3次)の登録申し込みは、来月の12月1日〜12月4日との事です。興味がある方は是非。この建物の竣工は、来年の2013年8月の予定。)

あと、建て替え前の写真です(下図)。1973年の写真です。「パルテノン多摩 定点観測プロジェクトWEBギャラリー」のサイトの「昭和48年(1973)撮影 尾根幹線上空より諏訪団地」(2010年4月21日)より。赤の枠線内が今回の建て替え予定地です。一応、上記の完成予想図と比べると、多摩ニュータウンの“ビフォー・アフター*1”になっていますw。

ちなみに、今回、取り壊された「諏訪2丁目団地」は、1971年の竣工です。約40年の命でした。

関連して、(僕の)別ブログの「モダン都市」の記事(水内俊雄+加藤政洋+大城直樹著「モダン都市の系譜―地図から読み解く社会と空間」(2008年)より)、「木賃アパートと団地」の記事(「団地日和PV」、→動画)、「機能から構造へ-3」の記事(「機能主義の都市理論(CIAM理論等)では、「日照」を優先して、住棟を平行配置する」)、「明日の田園都市」の記事(「ジートルンク」(公営団地))等を参照。あと、本ブログの「アイコンの消失」の記事(「アイコン建築」の「Subtraction House」(引き算の家))も参照。

とりあえず、以上です。

一番のポイントは、記事タイトルに書いたように、「住戸数を倍増」させている事ですね。そのうち詳しく書きます(ほんとか?w)。ま、正直言って、僕は千葉県出身(柏市)なので、東京の西部(多摩地区を含む)は苦手です(ははっ…)。この辺りを車で走っていて「あきる野」とか書かれた道路標識があったりすると、それだけで意味が分からなくなって、頭の中が真っ白になります。方向感覚が全く定まらないのです。いまだに「あきる野」が何なのか分かりませんw。

ついでに、「「千葉では出席番号が誕生日順ってホント?」という投げかけにコメント殺到!」(トゥギャッター、2012年11月26日、kyuuns2)を参照(下記)。

microoooooooo
これまじですか?千葉県民さん。。?!

これまじです。懐かしいw。

ではまた。


追記(2013/10/26)。

多摩ニュータウン 初の建て替え完成」(NHK、2013年10月25日)

(前略)多摩ニュータウンは、東京西部の4つの市にまたがる国内最大規模のニュータウンですが、開発が始まって40年ほどたち、建物の老朽化や住民の高齢化が問題になっています。

このうち昭和46年に入居が始まった多摩市の「諏訪2丁目住宅」では、23棟あった5階建ての集合住宅を取り壊し、11階と14階建ての高層住宅7棟に建て替える大規模な工事が行われ、今月、完成しました。(中略)完成した建物の総戸数は1200戸余りで、これまで住んでいた人たちが入居するほか、およそ700戸が新たに分譲されました。

これまでの住民の平均年齢が65歳なのに対して、新たに入居する人の3分の2は30代と40代だということで、地元の人たちは地域の再生につながると期待しています。(中略)多摩ニュータウンで、こうした建て替え工事が完成するのは初めてで、各地のニュータウン再生のモデルケースになるか注目されています。

「初の一括建て替え 多摩ニュータウンに新マンションが完成」(TOKYO MX、2013年10月25日)のYouTube動画(→下の動画)。

政治の場としての都市――維新の会の日本近代化計画

 
日本維新の会橋下徹代表代行の街頭演説 なんば高島屋前 2012-11-19」(2012年11月19日、shiminjichi)のYouTube動画(→下の動画)より。メモ。

(上記の動画はやや音声が悪いです。でも、そのうち「日本維新の会」の公式ページの「維新八策LIVE」でも、上記の動画と同じ街頭演説のYouTube動画が公開されると思うので、後で差し替えます。)

すごい。

特に、後半の12分40秒頃からがすごい。詳しくは、「橋下氏の街頭演説で騒然…震災がれき受け入れ反対派に「勝手な国民増えた」」(産経新聞、2012年11月20日)を参照。ま、僕は前に本ブログの「体制維新――大阪都」の記事で書いたように、次の衆議院選挙では、僕は“迷わずに”「日本維新の会」に投票する(小選挙区比例区も)のだけど、最近の世論調査等をみると、「日本維新の会」はかなり厳しい戦いを強いられているようです。でも、僕は僕が信じる政党に投票するのみです。関連して、本ブログの「大阪維新の会の「船中八策」についてのメモ書き」の記事を参照。

また、消去法的にも、まず民主党はあり得ない。(念のため、僕は前回の衆議院選挙でも民主党には投票していない。それどころか、民主党マニフェストに掲げていた「高速道路無料化」をブログで何度も批判しています*1)。また、自民党もあり得ない。自民党が掲げている「国土強靱化200兆円計画」は全く馬鹿げています。昔の“土建国家”体質の政治に逆戻りさせてはなりません。ま、もちろん、これからの日本に必要なインフラは着々と整備したほうが良いに決まっているのだけど、前に本ブログの「松谷明彦著「人口減少時代の大都市経済」からの引用集(メモ)」の記事で書いたように、人口減少時代を迎えるこれからの日本は「小さな財政」を第一に目指さなければならないのです。とりあえず、以上です。

あと、その他にいくつか書いておきたい事があるのだけど、後日、書きます(ドタバタ)w。ではまた。

*1:(僕の)別ブログの「クルーグマン」の記事(「高速道路を無料化すると、地方はますます衰退する。」)、「フロリダ」の記事(「「高速道路の無料化」が「ストロー効果」を招くという考え方(中略)は、民主党の人には無いらしい。」)、「新たな国づくり」の記事(「結局、与党の「高速道路無料化」とは一体、何だったのか。(中略)僕はこの政策には(中略)反対です。」)、本ブログの「2020年の東京」の記事(「民主党は「高速道路無料化」の看板をおろせ」(日経BPネット、2011年12月13日、猪瀬直樹))を参照(「高速道路無料化」)

超絶発展する立川市――「逆都市化」する東京

 
(前に別ブログに書いた「「逆都市化」する東京」の記事の続き。)
 
多摩モノレール 柴崎体育館駅〜立川南駅立川北駅」(2009年11月21日にアップロード、accomodat)のYouTube動画(→下の動画)。映像と音楽(BGM)がマッチしている。

他には、「【多摩都市モノレール】1000系 先頭展望 立飛から高松」(2010年12月11日にアップロード、railmanbros、→動画)、「【多摩都市モノレール】1000系 先頭展望 高松から立川北」(〃、→動画)、「【多摩都市モノレール】1000系 先頭展望 立川北から立川南」(〃、→動画)のYouTube動画を参照。あと、「ブレードランナー*1の世界。開通10周年多摩モノレール。主観映像」(2009年10月3日にアップロード、sun10ro、→動画)も参照。うーん。僕は多摩都市モノレール線に一度だけ乗った事がある(多摩動物公園へ行ったw)のだけど、これには二度と乗りたくないと思いました。これに乗るくらいなら、車で渋滞に巻き込まれるほうがまだましです(どんなだ?w)。

では、「立川に「ららぽーと」 2015年春開業へ」(読売新聞、2012年11月14日)より(下記)。メモ。

 立飛グループの中核企業「立飛ホールディングス(HD)」(立川市)は13日、立川市にある同社所有地の一部に商業施設を開発する計画を発表した。三井不動産中央区)との共同事業で実施し、2015年春に大型ショッピングモール「ららぽーと」の開業を目指す。

(中略)建設予定地は、多摩モノレール立飛駅の南東側にある立飛HD所有地(立川市泉町、同市高松町)。現在、「タチヒゴルフ練習場」が営業している場所を中心に開発を実施する。

 商業施設は、敷地面積約9万2500平方メートル、売り場面積約5万9500平方メートルで、駐車場も約3200台分*2を確保する計画だ。

(中略)市内では、スウェーデン発祥の家具販売チェーン「イケア・ジャパン」(千葉県船橋市)も15年に、同市緑町の米軍旧立川基地跡地の一部に大型店舗を出店する計画を進めている。

 立川市は「周辺道路での渋滞が懸念されるため、ハード・ソフトの両面から交通対策を考える」(栗原洋和・開発調整担当部長)としており、具体的な渋滞対策の検討を開始する。(後略)

上記の「ららぽーと」に関しては、(僕の)別ブログの「Strange Paradise」の記事(「ららぽーと横浜」)と、「Guide to Shopping」の記事(「ららぽーとTOKYO-BAY」)、「Integral Project-2」の記事(「ラゾーナ川崎プラザ」)、「イオンレイクタウン」の記事(「ららぽーと新三郷」)、「柏の葉から考える」の記事(「ららぽーと柏の葉」)、「エソラ」の記事(「アーバンドック ららぽーと豊洲」)を参照。

「イケア」に関しては、(僕の)別ブログの「H&Mモデル」の記事(「危機後産業潮流(3)北欧発新価格、割安感・デザイン両立。」、日本経済新聞、2010年1月5日)と、「イケア」の記事(「この映画の冒頭のイケアに関するシーンが好きですね。」、→動画)を参照。

あと、上図の「伊勢丹立川店」に関しては、前述の(僕の)別ブログの「「逆都市化」する東京」の記事を参照。ついでに、上図(左上)の「国営昭和記念公園」に関しては、(僕の)別ブログの「Polyrhythm」の記事(「都内の大きな公園へ。(中略)公園で、久々に自転車に乗る。これは楽しい。(中略)map」)を参照。

立川市に イケア、ららぽーとができて、超絶発展  八王子が過疎化へ」(にゅーすまとめログ、2012年11月15日)も参照(ははっw)。

とりあえず、以上です。

ま、要するに、現在、東京圏では「逆都市化」が起きているのです。詳しい事は、前述の(僕の)別ブログの「「逆都市化」する東京」の記事を参照。ちなみに、その記事では、「「逆都市化」に関しては、すでにクラッセン*3の「都市サイクル仮説」(都市化→郊外化→逆都市化→再都市化)や、ジョエル・ガローの「エッジシティ」(住宅の郊外化→商店の郊外化→職場の郊外化)*4等の膨大なデータに基づいた実証的な都市論がある」と書いているのだけど、この文中の「住宅の郊外化」は、「ドーナツ化現象」とも言います。そして、その次の「商店の郊外化」が上記のニュース等の事です。ついでに、その次の「職場の郊外化」は、えーと、「過去10年間の転入超過数 埼玉県は全国トップ」(帝国データバンク、2012年3月30日、→PDFファイル、下図)を見れば、一目瞭然です。企業の転出超過数の全国ワースト1位が東京都であるのに対して、東京都の周辺の埼玉県、神奈川県、千葉県、茨城県が、企業の転入超過数のベスト1位〜4位になっています。これを「逆都市化」と言います。

(追記。そう言えば、最近、経済学者の池田信夫ツイッターで、「大阪の企業転出超過数はワースト1位で、(中略)橋下維新が目指した地方自立はこんな姿ではなかったはず。(後略)」等と載せていたのだけど、これは間違っています。繰り返すけど、企業転出超過数のワースト1位は「東京」です。大阪はワースト2位です。と言うか、東京でも大阪でも「逆都市化」が起きているのであって、下図を見れば分かるように、大阪府の周辺の兵庫県滋賀県奈良県和歌山県が、企業の転入超過数のベスト10に入っています。ついでに、都市が県境を越えて「大都市圏」を形成している東京や大阪で、都道府県毎のデータを比較する意味はほとんどないとも思います。時代は都道府県単位から大都市圏単位の「広域連合」(または道州レベルの自治体)へシフトしているのです。その意味でも、「大阪維新の会」の都市政策(「大阪都構想」等)は正しいのです。関連して、本ブログの「体制維新――大阪都」の記事を参照。)

でも、その一方、東京区部(23区)の人口は増えています。これを「再都市化」と言います。つまり、現在、東京圏では「逆都市化」と「再都市化」の現象が重なって起きているのです。ま、大ざっぱに言えば、かつての都心が郊外へ移って、かつての郊外が都心へ移っている*5、という現象です。都市構造が裏返る(反転する)というダイナミックな現象が今起きているのです。そして、言うまでもないけど、この時に求められる正しい都市政策とは、この都市構造のダイナミックな変化の“巨大な波”に巧みに乗る(→動画?)という事ですw。ではまた(ドタバタ)。

【補足】

上記の「立川に「ららぽーと」 2015年春開業へ」(読売新聞、2012年11月14日)のニュースの参考資料です。「ららぽーと新三郷」と「イケア新三郷」の写真です(下図)。

あと、上図の地図(左上)の「国営昭和記念公園」の写真です(下図)。

補足は、以上です。では。

*1:関連して、(僕の)別ブログの「麦わら帽子はどこへ行ったのか」の記事参照(「工業デザイナーのシド・ミード」、→動画

*2:前々回の「「コンパクトシティ」から「道の駅」を拠点とした新しい都市へ」の記事参照(「大型商業施設の「ラゾーナ川崎」は「川崎駅に直結していながら2000台の駐車場がある」)

*3:(僕の)別ブログの「雑記3」の記事参照(「クラッセン(Leo H. Klaasen)」)

*4:(僕の)別ブログの「イオンレイクタウン-3」の記事参照(「エッジシティ」)

*5:本ブログの「コンパクトシティの正しい答え――中心市街地の再生は諦めて、住宅地にする」、「リチャード・フロリダ「都市の高密度化の限界」を翻訳してみた」注釈3、「東京計画2011」の記事参照(「都心の郊外化」)

東京に宇宙船が舞い降りる――新国立競技場

 
(本ブログの「宇宙船や古墳みたいなデザインも――新国立競技場はこの中から選ばれる」の記事(2012年10月31日)の続き。)

国立競技場、1300億円で建て直し 英建築家案を採用」(日本経済新聞、2012年11月15日)より(下記)。

 新国立競技場の国際デザイン・コンクールで、英国の建築設計事務所ザハ・ハディド・アーキテクトが最優秀賞を射止めた。コンクールを主催する日本スポーツ振興センターが11月15日に審査結果を発表した。優秀賞はオーストラリアの建築設計事務所、コックス・アーキテクチャー ピーティーワイ エルティディ。入選は日本のSANAA日建設計だった。

(中略)コンクールは、東京都新宿区にある現在の国立競技場の建て替え案を募るもの。総工事費は解体費を除いて1300億円程度を見込む。完成は2018年度。19年のラグビー・ワールドカップ開催に間に合わせる。東京都が招致を目指す20年夏季五輪ではメーンスタジアムと位置付けている。8万人収容の全天候型競技場という条件で、基本構想を公募していた。

 審査は、建築家の安藤忠雄氏が委員長を務める審査委員会が担当した。9月25日までに国内12点、海外34点の計46作品が応募。10月16日に実施した1次審査では、国内4点、海外7点の計11点が通過した。最終審査は11月7日に実施していた。

 ザハ・ハディド・アーキテクトの代表者のザハ・ハディド氏は、ロンドンを拠点に活躍する女性建築家。1950年イラクバグダッド生まれ。曲線、直線、鋭角が織りなす流動的でダイナミックなデザインで知られる。かつては「建てた建築よりも、実現しなかったプロジェクトの方が有名」と言われたこともあったが、実績を重ね、04年に、「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を女性で初めて受賞した。(後略)

ついでに、ウィキペディアの「ザハ・ハディッド」の項からも少し引用すると、ザハ・ハディドは、「イラクバグダッド出身、イギリス在住の女性建築家。世界的に活動する建築家で、現代建築における脱構築主義*1の旗手の一人でもある。ベイルートアメリカン・ユニバーシティで数学を学び、さらにロンドンの(中略)AAスクールで建築を学んだ。卒業後に恩師であったオランダ人建築家、レム・コールハース*2の下で働くようになる。1979年に自分の事務所を構え、以来ロンドンを拠点として母校AAスクールでも教壇に立っている。(中略)2004年には女性初のプリツカー賞を受賞した。彼女は、ロシア構成主義*3の建築や美術の強い影響を受け、コンセプチュアルで空想的なものを現実空間に出現させ、見学・利用者に驚きを与えている。かつては、同じく脱構築主義者であるダニエル・リベスキンド同様に、実際の建築作品ではなく、建築思想の提唱者として、また過激なコンセプトを示した図面の製作者としてもっぱら知られていた。(後略)」との事です。「【速報!】 最優秀はザハ、優秀賞はコックス・新国立競技場国際コンペ」(日刊建設通信新聞社、2012年11月15日)も参照。

以上です。

前述の本ブログの「宇宙船や古墳みたいなデザインも――新国立競技場はこの中から選ばれる」の記事(2012年10月31日)では、「(前略)ネットでは、「宇宙船」(作品番号17)と、「古墳」(作品番号26)の案が人気があるようです。」と書いたのだけど、その「宇宙船」の案が最優秀賞に選ばれました。うーん。ま、僕の一押しの「古墳」の案ではなかったのだけど(ははっ…)、最優秀賞に選ばれたザハ・ハディドの案は、とてもパワフルでエネルギッシュで、今日までの「東京」のイメージを塗り替えてしまうくらいに鮮烈で、更に、私たちに新しい何か(変化)を予感させてくれる、大変、魅力的な案だと思います。また、このような“過激”な案を最優秀賞に選んだ、審査委員長の安藤忠雄もすごい方だと思います。この審査結果に関しては、ネットでは、概ね、大好評のようです。ではまた(ドタバタ)。

【追記】

ちなみに、新国立競技場の建設予定地はここです(下図)。一応、上図の「宇宙船」の案の図と比べると、“ビフォー・アフター”になっています。なんということでしょう!!(←大改造!!劇的ビフォーアフター*4風にw)

(追記(2012/11/29)。「【意外に知られていない】新国立競技場デザインコンペ最優秀賞ザハ・ハディド案のその他の画像――「宇宙船」でも「カブトガニ」でもない?」の記事も参照。)

*1:(僕の)別ブログの「やりかけの未来がある」の記事と、本ブログの「鉄道の未来学――2011年の鉄道とその未来」の記事参照(「脱構築主義」)

*2:レム・コールハース」に関しては、これまでに(ブログに)たくさん書いていて、ま、とりあえず、本ブログのここを参照(こらこらw)

*3:本ブログの「流れ星の家、土星の家、リボン付きのラートハウス」(と注釈6)の記事参照(「ロシア構成主義」)

*4:本ブログの「写真でみる田園都市レッチワースの移り変わり」、「マンハッタンのビフォー・アフター」、「彼らは何を「理想」としたのか――時代を超える9つのユートピア」注釈1、「【車載動画】高松駅〜高松西IC、高松駅〜屋島」の記事参照(「ビフォーアフター」)

「コンパクトシティ」から「道の駅」を拠点とした新しい都市へ

 
大船渡駅周辺にコンパクトシティーをつくる」(日経ビジネスオンライン、2012年11月12日、宮田秀明)*1より(下記)。メモ。

 コンパクトシティーを担当するBチームでは、「道の駅」が議論の大切な部分になってきた。

 ご存じの方も多いだろう。「道の駅」は全国に1000近くあって、観光客のための施設としてだけでなく、地域のコミュニティー拠点としての価値が高まってきている。震災以降は防災拠点としての価値も強調されるようになってきた。

 「道の駅」の規模はいろいろだ。駐車場が10台の小規模なものから、500台を収容できるものまである。レストランも様々だ。麺類中心の簡単な飲食店から高級フレンチ料理を提供するものまである。設備も多様で、温泉、ホテル、博物館、野菜や魚介類の直売所などいろいろである。一言でいえば「何でもアリ」なのだ。

 成功して賑わっている「道の駅」とそうでない「道の駅」の二極分化も明確である。この方面に詳しい方によると、いちばん成功しているのは妙高市の「道の駅あらい」だそうだ。この「道の駅」はビジネスホテルも併設している。

 昨年の5月、企業の方々と東大の研究室の私たちが、陸前高田市を例題として、復興のプランを議論した。この時、ヨーロッパモデルの「連結型コンパクトシティー」の案が出た。高台に移転する住宅地をコンパクトシティーとして建設する。このコンパクトシティーを連結して機能を高めようというものだった。コンパクトシティーは、住居や商業施設などをあちらこちらに分散させるのではなく、ある地域にコンパクトにまとめて機能を高める街のことである。特に高齢化社会に適している。

 しかし、この案は現実と乖離していることが明らかになった。高台に住居を移転するための立地調査を大船渡市陸前高田市が行ったところ、高台にまとまった用地を確保することが難しいことが分かった。小規模なところで10戸、大きくても200戸程度の町にしかならないのだ。これではコンパクトシティーにならない。(続く)

(「道の駅」に関しては、 「道の駅と地域の内発的発展」(北海道教育大学旭川校、2006年、松谷岬、→PDFファイル)を参照。良い論文です。)

■ 商業施設と道の駅の相乗効果を図る

 そこで今年になって大船渡市は方針を転換することにした。商業コンパクトシティーを町の中心に建設することにしたのだ。第1号を大船渡駅周辺地域とした。大船渡市の賑わいの中心は、JR大船渡線の終点、盛駅と、ひとつ手前の大船渡駅の周辺である。このうち大船渡駅周辺は被災し、今は広大な空き地になっている。面積は約39ヘクタールある。ここにコンパクトシティーを建設する案が浮上したのだ。

 4月、大船渡市を視察に来られた当時の前田武志国交大臣は大船渡駅の跡地に立ち寄り、国として強力に支援することを約束した。国の津波復興拠点整備事業を活用することも決まった。大船渡市は、この8月、大船渡駅周辺の約4ヘクタールから建設を開始すると発表した。気仙広域環境未来都市の象徴的な場所になることが予想される。

 大船渡市はこの4ヘクタールの敷地の中には商業施設と公共施設のほかに「道の駅」を計画している。このコンパクトシティーの成功の鍵のひとつは「道の駅」になりそうだ。「道の駅」は観光地へのアクセス拠点であるとともに、地域のコミュニティー拠点にも防災拠点にもなる。(後略)

ま、大ざっぱに言えば、最初の「コンパクトシティ」の案は事実上却下されてw、被災した中心市街地(大船渡駅周辺)を、今日の「車社会化」(モータリゼーション)に対応した都市構造につくり替える(車利用者を想定した「道の駅」を鉄道駅周辺につくる)案に変わった、という記事ですね(ははっw)。でも、“現実的”なとても良い案になったと僕は思います。大船渡市の未来に明るい“希望”が持てる、素敵な案だと思います。

関連して、(僕の)別ブログの「Transit City (Integral Project-3)」の記事(「「鉄道的リアリズム」(鉄道利用者)の空間と「自動車的リアリズム」(車利用者)の空間それぞれの中心を再び結合する」)と、(僕の)別ブログの「Kinkyo-2」の記事(大型商業施設の「ラゾーナ川崎」は「川崎駅に直結していながら2000台の駐車場がある」)と、(僕の)別ブログの「イオンレイクタウン」の記事参照。

あと、本ブログの「医療と高齢化と中心市街地の再生――高松丸亀町商店街C街区」の記事(「高松丸亀町商店街」は、「既存の商店街を「ショッピングモール(のような場所)」に造り変えている」)と、本ブログの「【続報】「中心市街地」対「大型SC」――秋田市」の記事で引用した、「交通史観が示唆する市街地活性化の行く末」(大和総研、2010年7月14日、鈴木文彦)を参照。三度引用するとw、「(前略)底流には河川から鉄道へ、そしてバイパスを経て高速道路に至る主要交通路の変遷があった。(中略)根源的には、市街地の場所と在り様は交通手段で規定される」との事です。

Lady Gagaのマネージャーが考えるソーシャルメディアのこれから」(BLOGOS、2012年11月12日、Kenichi Nishimura)も参照。少し引用すると、レディー・ガガLady Gaga*2のマネージャーを務めるトロイ・カーター(Troy Carter)は、The Guardianが行なったインタビューで、「もう交通手段として馬*3を見る人はいないのであり、世の中は変化している。ビジネスはそれに対して適切に順応していかなければならない。(People don’t buy horses to ride around any more for transportation. I just think the world changes. As a business, we have to make the proper adjustments.)」と語っているとの事です。以上です。ではまた(ドタバタ)。


【追記(2013/4/26)】

未発育都市 @mihatsuikutoshi
日経ビジネス 「道の駅」が地方を救う―イオンでもセブンでもない第3の流通 http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbo/base1/index.html 買ったー。

未発育都市 @mihatsuikutoshi
ま、というか、中身よりも表紙が欲しかったw。この絵好きだー。 http://lighthill.exblog.jp/20315075/ pic.twitter.com/A8MehxPoHM

未発育都市 @mihatsuikutoshi
「全国に1000カ所もの“店舗”を抱え、来訪者数は年間延べ5億人以上。地方都市に大型SCを設けるイオンや、国内に約1万5000もの店舗を構えるセブンイレブンさえも立地しないような過疎地への出店がほとんどながら、合計3500億円もの売上高を誇る流通業がある。その名は『道の駅』。」

未発育都市 @mihatsuikutoshi
「道の駅によって支えられ、また道の駅を支えてきたのは、小規模な生産者たちである。現在、9割程度の駅が直売所を設けている。駅は農漁業が盛んな地域に多いため、(略)道の駅では近隣の農家や漁師、食品加工業者らが商品を持ち込み、駅や施設に委託して販売する仕組みが一般的だ。」

未発育都市 @mihatsuikutoshi
「売値は生産者が決めて、十数%を手数料として駅の運営会社に支払う。卸や商社を介さず、物流費もあまりかからない。そのため、多くの道の駅では新鮮な野菜や果物が、都市部の食品スーパーよりも、はるかに安い価格で売られている。」

未発育都市 @mihatsuikutoshi
「生産者によるマーケティング視点をもたらしたことが道の駅の功績」「消費者に鍛えられた生産者の中には、道の駅と組んで商品を海外に輸出しようという意欲的な動きもある。」「1000万円以上稼ぐ漁師が続々」

未発育都市 @mihatsuikutoshi
「都会に働きに出ていた漁師の子供らが後を継ぐため戻るケースも増えたという。漁師が安定的に「稼げる」仕事になったからだ。以前は市場や企業に買い叩かれていた「弱者」である第1次産業従事者が、道の駅で生計の場を得た。」

未発育都市 @mihatsuikutoshi
「福岡県宗像市の道の駅「むなかた」の売りは鮮魚である。」「むなかたは今後、加工品製造のための工場も建てる。道の駅は地方に産業まで生み出しているのだ。」 (※道の駅むなかた http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%93%E3%81%AE%E9%A7%85%E3%82%80%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%9F

未発育都市 @mihatsuikutoshi
「本誌はこの「道の駅モデル」こそ、地盤沈下の止まらない日本の地方を再生する切り札になると考える」「最終消費者の顔が見える直販ルートを手に入れたことで、生産者の意識は大きく変化。市場に農産物を出荷するだけでは気づかなかった消費者のニーズを考え、次々に独自産品を生産するようになった」

未発育都市 @mihatsuikutoshi
以上。日経ビジネス 「道の駅」が地方を救う―イオンでもセブンでもない第3の流通 http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbo/base1/index.html からの引用でした。(終わり)

*1:大船渡駅周辺にコンパクトシティーをつくる」(日経ビジネスオンライン、2012年11月12日、宮田秀明)のYahoo! リアルタイム検索も参照。少し引用すると、「うがった見方だとは自覚してるんだけど…何だか被災地がひと山当てようとする人たちの草刈り場になってないかとふと疑心暗鬼になる。」(unamu_s)、「イイね、実現して欲しいな!」(kyoheism)、「道の駅にマイクログリッド・・・、コンパクトシティの方向性がなんか違うように思うのは僕だけでしょうか?単に新しい商業施設を作ろうとしているだけのような気が・・。」(kazu_jijineko)、「おお! 」(yohx)、「あの駅周辺に作ることを皆是としてるんだろうか。。」(ko31)、「道の駅はいいけど、鉄道の駅・・・は・・・?」(luisama1999)、「大船渡はセメントシティだから、そこになければならない理由が比較的しっかりしてるから、ありかもな。」(gelsy)等々の感想がありました。賛否両論あるようです(うーん)。あと、一応、最後の「大船渡はセメントシティだから」に関しては、ウィキペディアの「大船渡市」の項から少し引用すると、大船渡市の「主要な産業のひとつは水産業であり、市の沖合いには、「世界三大漁場」ともいわれる北西太平洋海域(三陸漁場)となっている。(中略)また、市内各地に石灰石鉱山があり、大船渡湾奥には太平洋セメント大船渡工場がある。」との事です。

*2:(僕の)別ブログの「九州新幹線全線開業」の記事参照(レディー・ガガ、→動画

*3:本ブログの「写真でみる田園都市レッチワースの移り変わり」の記事参照(「馬」、「馬車」、「乗合馬車」)

コンパクトシティに関するメモ(2012/11/7)

 
後で読む。メモ。

● 「コンパクトシティに関する一考察群」(トゥギャッター、2011年12月11日、Atsasebo)
● 「コンパクトシティの話・大いなる続編」(トゥギャッター、2011年12月12日、〃)

少し読んでみたのだけど、興味深い。地に足がついている、それぞれがちゃんと自分で考えて書いている。ま、どこかの数学者(上智大教授)とは正反対ですねw。その数学者は、「コンパクトシティ」という言葉を掲げれば、文化人(インテリ)ぶれると思ったのでしょう。関連して、前々回の「池田信夫(アゴラ)と上杉隆の違いが分からない――アゴラもデマ情報だらけ、訂正せよ、サイトを閉鎖せよ」の記事と、前回の「【返信】池田信夫(アゴラ)と上杉隆の違いが分からない――アゴラもデマ情報だらけ、訂正せよ @agora_japan」の記事参照。

● Rachel Cooper+Christopher Boyko共著「The Little Book of Density」(2012年4月18日、→PDFファイル、英語)

関連して、本ブログの「リチャード・フロリダ「都市の高密度化の限界」を翻訳してみた」の記事参照。

● 「低炭素促進法」(「都市の低炭素化の促進に関する法律」、通称「エコまち法」、→PDFファイル

この「低炭素促進法」は、今年(2012年)8月に成立して、年内(12月頃)に施行されます。関連して、本ブログの「コンパクトシティは地球に優しくない、エネルギーの無駄遣い」の記事(「低炭素都市」、→動画)と、「環境理想都市――多心シナリオによるコンパクトシティ」の記事(「多心シナリオによるコンパクトシティ―長岡市の2050年の都市像とCO2排出量評価―」(日本建築学会 、2010年、和田夏子、大野秀敏、→PDF形式))を参照。ま、少し読んでみたのだけど、僕はこの「低炭素促進法」には反対です(建設時のCO2排出量を考慮に入れていないので)。それよりも、前に本ブログの「救急搬送の都道府県別所要時間の謎」の記事で書いた、「交通基本法」を早く成立させたほうが良い。以上です。

上記については、そのうち詳しく書きます(たぶんw)。ではまた(ドタバタ)。

【追記】

イオン側が構想説明」(朝日新聞デジタル、2012年11月2日)を参照。少し引用すると、「秋田市北部で大型商業エリアの開発を計画しているイオングループの開発会社イオンタウン千葉市)の大門淳社長らが1日、秋田市役所を訪れ、市議会側に構想の概要を説明した。(後略)」との事です。イオンを「門前払い」はしなかったようです。詳しい事情は、本ブログの「【続報】「中心市街地」対「大型SC」――秋田市」の記事参照。