ディスレクシア――学習障害について学習する

 
スピルバーグ氏、学習障害を告白 「映画で救われた」」(朝日新聞、2012年10月3日)より(下記)。

 映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏(65)が自分に学習障害があり、それが原因で子ども時代にはいじめられていたとインタビューで告白し、話題となっている。「学校へ行くのが大嫌いだったが、映画づくりを通して救われた」と語っている。

 スピルバーグ氏が公表したのは、読み書きが困難になる「ディスレクシア」と呼ばれる障害。5年前に初めて診断され、「自分についての大きな謎が解けた」という。小学生の時は読み書きのレベルが同級生より2年遅れ、「3年生のころは、クラスの前で読むことを求められるのがいやで、とにかく学校へ行きたくなかった」「先生も心配してくれたが、学習障害についての知識もない時代で、十分に勉強していないと思われた」と打ち明けた。今でも、本や脚本を読むのに、多くの人の倍近く時間がかかるという。

 また、学習障害がきっかけでからかわれ、いじめられたことも明らかに。「中学時代が一番つらかった。他人の立場から自分を見ることがまだできない子どもは本当にきつく、嫌なことをする。今は理解できるし、恨みもないが、大変だった」と話した。一方、「自分が被害者と思ったことは一度もない。映画づくりが、負わなくていい重みから私を救ってくれた」とも述べ、10代初めから撮り始めた8ミリ映画が支えになったと話した。

こんな“障害”が“認知”されているとは、全く知りませんでした。

スピルバーグ監督「謎が解けた」! 学習障害「ディスレクシア」を告白」(J-CASTニュース、2012年10月4日)、「社説:ディスレクシア スピルバーグ氏の「伝言」」(毎日新聞、2012年10月13日)等々のニュースも参照。

こういう事は、(とくに親や教育者は)よく知っていなければならないのでしょう。また、こういうニュースが報じられる事で、救われる人々(とくに同じ障害を持つ人々)はきっと大勢いるに違いない。

ウィキペディアの「ディスレクシア」の項より(下記)。

ディスレクシア(Dyslexia)は、学習障害の一種である。失読症難読症、識字障害、読字障害とも訳される。1884年ドイツの眼科医ルドルフ・ベルリン(ドイツ語版)によって報告され命名された。

【概要】

学習障害の一種で、知的能力及び一般的な理解能力などに特に異常がないにもかかわらず、文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害である。顕著な例では数字の「7」と「seven」を同一のものとして理解が出来なかったり、文字がひっくり返って記憶されたりして正確に覚えられない、など様々な例がある。アメリカでは2割近くの人々が何らかの形で読字障害に関わる症状を持つという調査結果もある。

最新の研究によって、ディスレクシアの人は脳での情報処理の仕方が一般の人と異なることが明らかになってきている。一般の人は脳内の情報を統合する領域で文字を自動処理しているが、ディスレクシアの人々はこの文字処理がスムーズに行えず、通常とは違う脳の働きをしているという。人類が文字を使い始めたのは5千年ほど前からといわれ、脳には文字の読み書きを行う中枢領域は存在せず、他の代替機能を使って文字の読み書きをしている。ディスレクシアの人々は通常の人々とは異なる脳の領域を使っており、そのためスムーズな文字の読み書きが行えないと考えられている。(後略)

ディスレクシアとは」(NPO EDGE(エッジ))、「ディスレクシアのための図書館サービスのガイドライン」(障害保健福祉研究情報システム)等々のサイトも参照。

とりあえず、以上です。

関連して、本ブログの「世界最古の都市遺跡――カタル・フユク(Catal Huyuk)は語る」の記事の注釈6を参照(「ウィキペディアの「文字の歴史」の項によると、「原文字」(proto-writing)が出現したのは紀元前7000年頃で、最初の「文字体系」が発明されたのは紀元前4000年頃との事です。」)。

あと、本ブログの「鉄道の未来学――2011年の鉄道とその未来」の記事(「エクリチュール」)、「もし建築が「リボン」を付けたら――Architecture of Ribbon」の記事(「告白」する事)、「電車内のベビーカー利用の賛否」、「【都会の歩行者へ】救急車が来たら道をあけましょう」の記事(「認知」する事)を参照。

(前回の「【動画】廃村――abandoned village」の記事も参照(「スティーブン・スピルバーグ監督の映画「宇宙戦争」(2005年、→動画)」、「写真(カメラ)」)。)

ま、いずれにせよ、これはいいニュースですね。ではまた(ドタバタ)。

【追記】

来月(2012年11月)に(アメリカで)公開予定のスティーブン・スピルバーグ監督の新作映画「リンカーン」の予告編(→下の動画)。(日本では2013年4月に公開予定。)

関連して、(僕の)別ブログの「メモ-2」の記事参照。少し引用すると、「(前略)ロールズの「正義論」の解説のところを読んでいる時、Starshipの「We Built this City」という曲を想い出した。(中略)この曲のプロモーションビデオ(→動画)の1分15秒〜1分40秒頃には、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが、と言うか、リンカーン記念堂リンカーン像が出てきます(w)。リンカーン記念堂は、1963年に「キング牧師による、『私には夢がある』という一節で有名な演説が行われた」(中略)ところです。」と書いています。

上記の「リンカーン記念堂」に関しては、「世界の有名なモニュメント、もしかしたらこんな風だったのかもしれません」(ギズモード・ジャパン、2012年9月18日)も参照。

ところで、前回の「【動画】廃村――abandoned village」の記事の最後に、「(前略)「デトロイト」については、そのうち詳しく書きます(ほんとか?w)。」とか書いたのだけど、(前々回の「「スーパー・メガ地域」への道」の記事でも書いた)都市経済学者のリチャード・フロリダが最近、自身のツイッターで、頻繁に「デトロイト」について言及しています。うーん。ま、そのうち詳しく書きます(こらこらw)。と言うか、現在進行中なので、要約するのが少し難しい。すごい簡単に状況だけ説明すると、「デトロイト」では今、急速に「再都市化」現象が起きているのです*1。こうした変化は、やはり都市学者には見逃せないのでしょう。更に、アメリカには人種問題(人種に起因する社会問題)があるので、ただ単に「再都市化」によって都心居住が進んで都市が美化されてとか、そういう話には全然なっていないんです。旧住民(ほとんどが黒人)と、新しく都心に移り住んできた住民(ほとんどが白人)の人種問題になってしまっているのです。追記は以上です。ではまた。

*1:本ブログの「雑記(2012/7/17)」、「クリエイティブ・ヴィレッジ」の記事参照(「今、世界の多くの都市で「再都市化」が進行しています。」)。あと、本ブログの「リチャード・フロリダ「都市の高密度化の限界」を翻訳してみた」の記事も参照(「(前略)今日の危険(リスク)は、それが超高層ビル再都市化)に向かって極端に揺れて戻ってくるという事です。」)。(僕の)別ブログの「「逆都市化」する東京」の記事も参照(「クラッセンの「都市サイクル仮説」(都市化→郊外化→逆都市化→再都市化)」)