フェイスブック新社屋――倉庫のような大きな一室空間のビル

  
フランク・ゲーリー設計のフェイスブック新オフィス。でもこんなのゲーリーじゃないよ...」(ギズモード・ジャパン、2012年8月28日)より。メモ。


フェイスブック*1のエンジニアリング・オフィスの設計をフランク・ゲーリー*2氏がやることになりました。

(中略)ゲーリーのデザインは普通の建物と全然違う(→写真)というのが特徴でした。でも、フェイスブックの新ビルは、「普通」なんです。社員の方たちは、ゲーリー建築の中で働くなんてクールって思っているみたいですけどね。

これが、建物の外観です(→下図)。実際使いやすそうではあります。建物は(サンフランシスコ・ベイエリアの)メンロ公園の中にあり、周辺の建築に考慮したり、都市景観を考える必要はありませんでした。抑制の効いたデザインとなっており、屋根の上には木が植えられることになっています。フェイスブックは建物について、このように説明しています。

これは、倉庫のような、大きな一室空間のビルになる予定だ。今まで通り、外でも仕事ができるように机が用意されている。机は簡単に動き、打ち合わせに合わせて配置を自由に変えることができる。カフェとスナックを置いてあるミニ・キッチンが沢山あり、空腹を覚えることはないようになっている。また、ソファとホワイトボードのある休憩スペースも作るつもりだ。

素敵なオフィスになりそうです。ゲーリーらしさはないですけど。

ま、確かに、この建物は「普通」で、「ゲーリーらしさはない」かも知れません(ワラ)。

でも、これの屋根を外した模型(→下図)を見ると、ここが「倉庫のような、大きな一室空間のビル」である事が分かります。とても興味深い。

「ArchDaily」の「Frank Gehry designs Facebook HQ Expansion」(2012年8月25日)の記事と、「Facebook + Frank Gehry」(2012年8月27日)の記事によると、この建物(フェイスブック新社屋)の面積は「約10エーカー(約40,000平方メートル)」との事です。ちなみに、東京ドームの広さは46,755平方メートル*3なので、大体、東京ドームの約8〜9割くらいの広さになります。結構、広いです。確かに、「倉庫のような」室内空間になるでしょう。また、収容人数は「2800人」との事なので、一人当たり面積は約14平方メートルになります。これは日本の一般的なオフィスビルの一人当たり面積と同じです*4。でも、アメリカの一般的なオフィスビルの一人当たり面積よりは狭いのではないかと思います(後で調べます)。オフィスビルの計画の新しい傾向(コミュニケーション重視型)なのかも知れません。

以上です。とりあえず、メモのみ。

うーん。ま、前に(僕の)別ブログの「Googleplex & iSpaceship」の記事で、「(前略)大型商業施設では「低層で水平に広い建築」のほうが良いと(中略)書きましたが、これとは逆に、個々で独立していて水平方向の連続性をあまり必要としない用途、とくに住宅の場合では、建築形態は「垂直」になるのではないかと考えます。(中略)建築の用途がオフィスの場合ではまた色々とあると思われる、グーグル本社屋とか(後略)」、「僕はオフィスビルを設計した事がない(大型商業施設と住宅はある)ので、詳しい事はよく知らないのだけど、オフィスビルは「水平」、「垂直」のどちらが適しているのかという問題を設定してその答えを解いてみたいな、と思った(ワラ)。」と書いたように、ま、他人事ではあるのだけどw、この問題に関しては、結構、僕は興味あるのです。ま、一言で言うと、イノベーション(創造)を“促す”環境とは具体的にどのような建築空間(形態、形式)なのだろうか、という事です。

関連して、本ブログの「クリエイティブ・ヴィレッジ」の記事参照。

「グーグル本社屋」と「アップル新社屋」に関しては、前述の(僕の)別ブログの「Googleplex & iSpaceship」の記事と、本ブログの「リチャード・フロリダ「都市の高密度化の限界」を翻訳してみた」の記事参照。*5

ツイッター新社屋」に関しては、本ブログの「米Twitter本社はどこに移転したのか」の記事参照。

ではまた。

【補足】

地図上にそれぞれの本社屋の位置をプロットしてみた。

「ユーチューブ本社屋」の位置も入れてみた。うーん。これらのそうそうたるグローバル企業が、地理的には一つの地域(サンフランシスコ・ベイエリア)に集積しているのは凄い事だ、と改めて(しみじみと)感じました*6。ま、とりあえず、補足は以上です。ではでは。

【追記】

Facebook新キャンパスを設計した建築家フランク・ゲーリーの作品が凄過ぎる!!」(NAVERまとめ、2012年9月23日)も参照。

*1:(僕の)別ブログの「Star House-2 (星型の家-2)」、「麦わら帽子とモンパルナスタワー」の記事参照(デビッド・フィンチャー監督の映画「ソーシャル・ネットワーク」、2010年公開、→動画)。これは「世界最大級のSNSフェイスブック」誕生の裏側を描いた映画」です。

*2:(僕の)別ブログの「ハイブリッド世界の本質」(「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」、1997年)、「Edge City」(「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」、2003年)、「別世界性」(「Serpentine Gallery Pavilion 2008」、2008年、→動画)の記事参照(フランク・ゲーリー

*3:東京ドームの全体面積とグラウンド面積ってどれぐらい?」(Yahoo!知恵袋、2006年12月24日)も参照。「東京ドーム面積・・・46,755 平方m」、「グラウンド面積・・・13,000平方m」との事です。

*4:「オフィスワーカー1人当たり床面積動向調査 ’10」(森トラスト株式会社、2011年4月12日、→PDFファイル)を参照。この調査によると、オフィスワーカー1人当たり床面積(2010年)は「13.8平方メートル」との事です。

*5:六本木ヒルズ森タワー」に関しては、前述の(僕の)別ブログの「Googleplex & iSpaceship」の記事の注釈1を参照。少し引用すると、「高層オフィスビルでは基準階の面積(1フロアあたりの面積)は広いほうがいいとされている。(中略)「六本木ヒルズ」(2003年竣工、→写真)は、割と寸胴(太い)な形をしているけど、オフィス環境としては、かなり使い勝手がいいとの事。」です。

*6:本ブログの「エクソダスあるいは原発の自発的囚人――Exodus, or the Voluntary Prisoners of Nukes」注釈2の記事参照(サンフランシスコ)