8月のニュース-2

(「8月のニュース-1」の記事の続き。)

震災後、軽井沢への移住者増加
asahi.com、2011年08月17日)
 避暑地・軽井沢(→写真)に変化が生まれている。原発事故による「節電」から避暑に訪れる人にとどまらず、放射能への心配などから、首都圏から移り住む人も出てきている。新幹線を使った、都内への通勤者もいる。
 大手金融機関で投資信託取引をしている蔵屋剣士さん(26)は5月中旬、JR軽井沢駅から徒歩7分のアパートに妻と子供2人と引っ越し、東京・丸の内の会社までの新幹線通勤を始めた。
 毎朝、午前6時43分の新幹線に乗り込む。車内では本を読んだり、マーケットニュースをチェックしたりして過ごす。
 「水も空気もきれいでよかった。何より食材に放射能をあまり心配しなくてよくなったのは大きい」と話す。
(中略)同町で不動産業を営む「今コーポレーション」の今信人社長(63)は「震災後は特にすごい勢いで増えた」と話す。(中略)別の不動産業者も「新築で安めの建売住宅も人気。5月末までにそうした物件はほぼ全てなくなった」と話す。
(中略)軽井沢町によると、震災前の3月1日から7月1日までの速報値で、町の人口は105人増えた。特に、40〜44歳と60〜64歳の年齢層が多かったという。


再注目「田舎暮らし、海外移住」の損得 首都圏から関西へ転職する人が増加
(プレジデント、2011年8月29日号)
 東日本大震災後、移住を考える人が増えている。 総務省公表による2011年3〜5月期の住民基本台帳に基づく人口移動報告によれば、東京圏から大阪圏への転出は14.5%増、名古屋圏へも5.9%増え、福岡県へは25.4%増となるなど西日本への転出が目につく。
(中略)「これまで漠然と田舎暮らしをしたいと考えていた人が、震災をきっかけに予定を前倒しする傾向がある。特に子どもがいる世帯はその傾向が強い」と述べる。(後略)

<地価動向調査>混乱収まり落ち着きも 関東圏は依然低調
毎日新聞、2011年8月24日)
 国土交通省が24日発表した今年7月1日時点の地価動向報告によると、(中略)前回は東日本大震災の発生直後で不動産市場が低迷、混乱していたが、3カ月経過して、全体として「落ち着きがみられる」(同省)結果となった。
 ただし上昇、横ばい地点が増えたのはほとんどが名古屋以西の西日本で、活発なマンション用地取得や九州新幹線の全線開通効果などで、上昇、横ばいは合計で前回より11地点多い38地点だった。
 一方、東京圏は(中略)沈滞ぶりが鮮明となった前回と、ほぼ同様の結果となった。

本社機能を大阪に集約 東洋ゴム、海外営業など
asahi.com、2011年8月11日)
 東洋ゴム工業大阪市)は10日、東京本社の機能を2012年4月までに大阪本社に集約すると発表した。積極的に進める海外展開で経営のスピード感が増すと判断したため。対象は東日本地域の営業担当を除く、海外営業本部など全部門。東京勤務の社員約140人の大半も大阪に移す。
 大阪発祥の企業が本社機能を東京にシフトする動きは1960年代から連綿と続いているが、逆に大阪に回帰するケースとなる。(後略)

「関西ビジネスに力を入れる」 梅田に本社移転の伊藤忠商事・岡藤正広社長
(産経ニュース、2011年8月15日)
 創業の地の船場地区(大阪市中央区)から同市北区のJR大阪駅新北ビル(ノースゲートビル)に大阪本社を移転した伊藤忠商事の岡藤正広社長は15日、産経新聞社のインタビューに応じ、「登記上の本社は大阪のまま、人員削減もせず大阪の一等地・梅田に移ったのは、当社が今後も関西ビジネスに力を入れる意思表示だ」と強調した。
(中略)「(大阪の新本社は)東京本社のバックアップ機能を強化する」と話した。(後略)

首都バックアップ体制構築を=有識者委が提言−国交省
時事通信、2011年7月26日)
 東日本大震災を踏まえ、災害に強い国土づくりについて検討していた国土審議会(国土交通相の諮問機関)の有識者委員会は26日、首都直下型地震などの大災害に備えた首都機能のバックアップ体制構築を求める提言を大筋で了承した。
 提言では、大災害が起きても日本全体の社会や経済の機能に影響が及ぶ事態を避けるための対策が重要と強調。特に、政治経済の中枢機能が集中する東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県)については、機能分散やバックアップのための拠点配置などの検討が喫緊の課題と指摘した。

大震災に備え東京圏の機能分散を急げ」(オルタナ、2011年8月19日)も参照。でも、首都機能のバックアップを大阪圏につくっては意味がない。そのうち詳しく書く。

本当の「地域主権」とは?
アゴラ、2011年7月18日)
(前略)この際、求心力を失う一方で、思い切った事は何も出来なくなってしまった日本という国を、一旦バラバラにして幾つかの「国に近い機能を持った道州」の「連邦」にし、「道州間の競争によって政策論の優劣を見極め、新しいリーダー像を確立していく」というドラスチックな提言をしたい。
(中略)官僚の間にも相互牽制と競争原理が働かねば駄目だ。道州間の競争は、政治家である首長間の競争であると同時に、彼等を支える道州官僚間の競争ともなるから、この点でも一歩前進になるだろう。(後略)

上記の「道州」に関しては、前に(僕の)別ブログの「クルーグマン」の記事で少し書いたのだけど、僕は小沢一郎の「300基礎自治体構想」がベターであると思ってます。ちなみに、明治政府が廃藩置県(中央集権化、近代国家化)を強行する前のの数が約300です。つまり、廃藩置県の逆をやる(廃藩置県をやる前に戻す、廃県置藩をやる)、という事です。(ついでに、基礎自治体の人口はバラバラで良い。一律(約30〜40万人)にはしない。合理化はしない。)
上記の「競争」に関しては、(僕の)別ブログの「散らかってる点を拾い集めて」注釈9と「都市の非能率性と非実用性」追記1の記事参照。

国・地方の債務超過、10年で9倍=財政再建で成長率向上―経済財政白書
asahi.com、2011年7月22日)
 経済財政白書は、2009年度の国民経済計算を基に、民間企業の会計手法による国・地方の財務諸表をまとめた。負債が資産を上回った「債務超過」の額は245.3兆円に達し、1999年度の27.0兆円から10年で9倍に膨れ上がった。さらに東日本大震災の復興需要で歳出が増加するものの、財政再建との両立は十分可能だと強調した。
 国と地方、年金や医療の特別会計など社会保障基金を合わせた一般政府ベースで、保有する外国国債や土地といった資産が985.8兆円なのに対し、発行した国債・地方債や年金積立金などの負債は1231.2兆円だった。この負債に、すでに支出が確定している基礎年金国庫負担分などを加えた総額は1504.4兆円に上り、白書は危機的な財政状況を改めて浮き彫りにした。(後略) 

国の借金:過去最高の943兆8096億円…6月末」(リンク切れ)
毎日新聞、2011年8月10日)
 財務省は10日、今年6月末の国債と借入金を合わせた国の借金が943兆8096億円となり、過去最高を更新したと発表した。7月1日現在の人口推計(約1億2792万人)で割ると、国民1人当たりの借金の額は約738万円に上る計算となる。
(中略)また、財務省が集計範囲を税財源により返済される借金に絞った「国と地方の長期債務残高」は、東日本大震災の復旧・復興の2011年度第2次補正予算を含めると、11年度末に894兆円程度にまで膨らむ見通し。これは国内総生産(GDP)比185%に相当し、先進国では最悪の水準という。

これは大丈夫なのか(?)。ま、一応、「ギリシャ人:8割が「幸せ」 デンマークに続いて欧州2位」(毎日新聞、2011年8月22日)も参照(w)。「幸せ」とは何だろうか。

日本国債1段階格下げ、安定的への見通し変更で市場に安心感も
(ロイター、2011年8月24日)
 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に引き下げたと発表した。(後略)

震災で財政再建困難に=円高も悪影響―ムーディーズ会見
時事通信、2011年8月24日)
 日本国債の格下げを発表した米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、都内で記者会見した。日本国債担当者のトーマス・バーン氏は「景気回復が遅れていたところに、東日本大震災原発事故が発生し、日本の経済成長の見通しが弱くなった」と指摘。「この二つが重なったことで、財政赤字削減目標の達成と税・社会保障の一体改革の実施が一層困難になった」と説明した。
 また、一時1ドル=75円台まで上昇し戦後最高値水準を付けた円高の進行が「日本経済の回復、成長にはマイナスだ」と分析。原発事故による電力供給能力の低下も、経済成長に対する逆風を強めるとの見方を示した。

日本経済 6重苦が7重苦、8重苦に
産経新聞、2011年8月21日)
 20年にわたり停滞を続けている日本経済だが、制度面などでも企業の住みづらさが加速している。元凶といわれる諸問題は俗に「6重苦」と呼ばれているが、東日本大震災以降はさらに問題が増えつつあり7重苦、8重苦にもなりかねない状況だ。少子高齢化で人口減少に転じた日本から企業が逃げ出す産業空洞化の加速が現実を帯びてきた。
(中略)6重苦に追い打ちをかけるのが、債務危機に直面する米欧、インフレに恐怖する中国やインド、ブラジルなどで高まりつつある世界的な景気減速リスクだ。(中略)企業努力も本当の限界に達しつつある。

とどめ刺された・壊滅だ…超円高に町工場悲鳴
(読売新聞、2011年8月21日)
(前略)ニューヨーク外国為替市場で一時1ドル=75円95銭という史上最高値まで達した超円高東日本大震災後の不況にあえぐ中での追い打ちに、「ものづくり」で東海地方の経済を下支えしてきた町工場からも悲鳴が上がった。外国人から人気を集めていた観光地も、客足の減少に不安を隠せないでいる。
(中略)どんな状況でもあきらめずにやってきたが、「今度ばかりは自分の力でどうにかできると思えない」。一経営者として、超円高が続くなら、自動車産業に限らず、大企業が生産拠点を海外に移すのは必然だと思うからだ。(後略)

【インタビュー】円は経済ファンダメンタルズ反映していない=中尾財務官」(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2011年8月20日)も参照。「ビッグマック指数だと…極端な円高ではない?」(読売新聞、2011年8月21日)も参照。(どっちが正解なのか(?)。)
あと、「円高還元セール続々! ネットも店舗も外食も」(J-CASTニュース、2011年8月23日)、「円高で輸入住宅を割引き販売、東急ホームズ」(産経新聞、2011年8月24日)も参照。後者の「輸入住宅」に関しては、そのうち詳しく書くけどw、日本の住宅の環境性能が向上したのは、日米構造協議等のいわゆる「外圧」(ガイアツ)によって、非関税障壁(例えば「通則認定」制度)が撤廃されて、日本国内に「輸入住宅」が入ってきたからです。しばしば勘違いされているので、あえて繰り返して二度書くけど、日本の住宅性能が向上したのは、日本の技術者や建築家が優れているからではなく、「外圧」によって、日本国内に「輸入住宅」が入ってきたからです。それ以前の日本の技術者や建築家は、低い水準で(排外的に日本の国内市場を業界で独占して)「横並び」的に安定していただけです。これは日本人の悪い癖だと思います。なぜなら、日本の国内の消費者にとっては何もメリットがない(質の悪い住宅を高値で買わされる)からです。ある意味、これは「外圧」によって(「大店法」が撤廃されて)大型ショッピングセンターが日本全国に広まった経緯とよく似ているとも思います。

訪日外国人、回復足踏み=原発、円高で36.1%減―7月
時事通信、2011年8月18日)
 日本政府観光局が18日発表した7月の訪日外国人数(推計値)は、前年同月比36.1%減の56万1700人だった。東日本大震災発生直後の3月12〜31日に前年同期比で73.0%も急減した後は徐々に回復していたが、減少幅は6月の36.0%とほぼ横ばい。福島第1原発事故の長期化に加え、円高で訪日が割高となったため、回復傾向は足踏み状態となった。
(中略)国別では、韓国からが40.7%減の14万100人、中国からは47.2%減の8万7100人、米国からは23.4%減の5万2100人だった。 


外国人に日本語の壁 看護師候補 離日相次ぐ 極端な低合格率 在留延長実らず インドネシア第1陣
西日本新聞、2011年8月20日
 政府間の経済連携協定(EPA)で来日し、日本の国家試験合格を目指す外国人の看護師候補のうち、制度が始まった3年前に来日したインドネシアの第1陣が7月末までに続々帰国した。政府は来年も受験できるよう在留期限を1年延長したが、日本語による国家試験の合格率は極端に低く、「こんなに努力しても駄目なら」と、合格を諦める看護師候補が後を絶たないからだ。(中略)政府は制度の抜本的見直しを迫られている。
(中略)外国人看護師問題に詳しい長崎大大学院の平野裕子教授(保健医療社会学)は「日本語能力を高めてから来日させたり、看護大学への留学と組み合わせたりするなど制度を再構築しないと、誰も日本に来なくなってしまう」と指摘している。

移民にもノーと言われる日本 すべてに中途半端な政府、やる気はあるのか!」(JBpress、2011年8月23日)も参照。あと、「焦点:ノルウェーの悲劇、欧州が抱える移民問題の難しさ露呈」(ロイター、2011年7月25日)、「「多文化主義」は失敗か 欧州の右傾化を懸念する」(東京新聞、2011年8月12日)も参照。
いずれにせよ、例えば、日本は「人口減少社会」を迎えたから「移民」を受け入れる、という政策は止めたほうがいいと思います。そうではなくて、世界中の人々にとって(もちろん、日本人にとっても)魅力ある国づくりを地道に目指したほうがいいと僕は思います。以上です。

8月のニュース-3」の記事に続く。