【返信】耐用年数を超えた高速道路の維持更新に税金は1円もいらない

前回の「耐用年数を超えた高速道路の維持更新に税金は1円もいらない――」の記事にコメントをいただいた(下記)。

gaNeza
初めて書込みさせて頂きます。ブログ主様に御質問させて頂ければと存じます。
高速道の所有者は「日本高速道路保有・債務返済機構」という独法であり、独法は、独立行政法人通則法第2条第1項で、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業」を担うとあります。
ブログ主様はどのような見地から一般道路のみを公共投資の対象とするとお考えでしょうか。

まず、前回の記事ではNEXCO中日本(中日本高速道路株式会社)中央自動車道を「借り受けている」と書いています。また、前回の記事で「公共投資をしなければならないのは耐用年数を超えた一般道路であって高速道路ではない。耐用年数を超えた高速道路の更新にかかる費用は利用者からの通行料金収入に基づくべきである。」と書いたのは、応益負担受益者負担*1の前提に基づくべきであると僕が考えているからです。つまり、高速道路を利用した人が通行料金を支払って、その通行料金からの収益に基づいて高速道路株式会社が高速道路の維持管理及び更新(建て替え)をするべきであるという考え方です。また、一般道路は「ガソリン税」を通じて、同様の応益負担(受益者負担)の前提に基づくべきであると考えています。[消費したガソリンの量]≒[走行距離]≒[一般道路を利用した分]なので、応益負担(受益者負担)の前提は保てていると思います。(ついでに、「日本維新の会」は今回の衆院選で「消費税の地方税化」を掲げているのだけど、それだけでは不十分で、「ガソリン税地方税化」もやるべきであると僕は思います。前回の記事で書いた「インフラ・クライシス(公共設備の危機)」を乗り越えるためにも必要な改革です。)

言い換えると、「一般道路のみを公共投資の対象とする」と言うよりは、高速道路の場合は「通行料金」によって直接的な応益負担(受益者負担)の関係をつくる、一般道路の場合は「ガソリン税」を経由して間接的な応益負担(受益者負担)の関係をつくる、という事です。高速道路と一般道路の違いは通行料金の集め方と、経営主体が民間か公共(公的機関)かというだけです。それと、なぜ応益負担(受益者負担)の前提に基づくべきであると考えているのかについては、説明がとても難しいのだけど、ま、一言で言えば、それが最も公平(フェア)であると考えられるからです。高度経済成長期の頃は、国が得た「利益」をどのように分配するのかを決める事が政治の役割であったのだけど、これからの時代は(利益ではなく)「負担」の分配を決めなければならないと言われています(ちなみに、今回の衆院選でこの事を明確に打ち出しているのは「日本維新の会」だけです。日本の現状が見えている政党は「日本維新の会」だけです)。そしてその時にどのようにして負担を分配したらいいのか、どのようにして負担を分配したら人々は納得するのだろうかを考えると、この応益負担(受益者負担)の前提に基づく事が最も単純で明快である(恣意性がなく納得してもらいやすい)のではないかと僕は思います。ま、もちろんこれが唯一の答えであるとは全く思っていませんし、公共のあり方や市場の失敗が生じる事などを考えると、一方では交通網のナショナル・ミニマムセーフティネット)を整備する事も必要不可欠であると考えています。例えば、(前に本ブログの「コンパクトシティに関するメモ(2012/11/7)」の記事で少し書いた)「交通基本法」を制定する事などです。以上です。

ま、上手く説明(返信)ができた自信はほとんどないのだけどw、いずれにせよ、コメントありがとうございます。僕の拙ブログを読んで下さってありがとうございます。ではまた!!

*1:本ブログの「大阪維新の会の「船中八策」についてのメモ書き」注釈6の記事参照(「応益説」)