堺屋太一の「大阪10大名物」についてのメモ書き

前回の「大阪維新の会の「船中八策」についてのメモ書き」の記事の続き。先月、作家の堺屋太一が示した「大阪10大名物」について書く(メモ書き)。

大阪府:道頓堀川をプールに…「10大名物づくり」で提案
毎日新聞、2012年1月25日)
 道頓堀川をプールに−−。大阪府松井一郎知事は25日の記者会見で、2015年の道頓堀完成400周年に合わせて、長さ2キロのプールを整備し、「世界遠泳大会」の開催を検討する考えを明らかにした。会見に先立つ同日の府市統合本部の会合で、特別顧問の堺屋太一・元経済企画庁長官はプールを有料化し、収入を得るアイデアも披露した。
 堺屋氏は会合で、大阪の「10大名物づくり」の一つとして提案した。
 道頓堀川を管理する大阪市は噴水を整備して水中の酸素量を増やしたり、専用船で毎日、水面清掃を行ったりするなどの水質改善策に取り組んでいる。
(中略)道頓堀川沿いを散策していた人の反応はさまざま。台湾から4泊5日で旅行に訪れた男性の翁正聲さん(36)は「グッドアイデア。もし泳げるならぜひ泳ぎたい」と歓迎する。大阪市に住むフリーターの青木藍美さん(21)は「絶対無理。きれいにならないだろうし、入りたくない。泳ぐなら須磨海岸(神戸市須磨区)に行く」と話した。

道頓堀に2キロプール…堺屋氏、10大名物提案
(読売新聞、2012年1月26日)
 大阪府、市の特別顧問を務める堺屋太一・元経済企画庁長官は25日の統合本部会議で、大阪の知名度を世界的に高めるため、「10大名物」を4年以内につくる構想を提案した。
 今後、実現性を検討する。
 2015年の道頓堀完成400周年に合わせ、「2キロプール」を整備し、世界遠泳大会を開催する案や、JR大阪駅・大屋根下の「空中カフェ」構想など、いずれも夢のあるプロジェクトを盛り込んでいる。橋下市長*1は会議の中で、「一つでも二つでも実現できればいい」と述べた。
 堺屋氏は読売新聞のインタビューに「大阪に10の名所と10の名物を作り、大阪万博のように、世界に情報発信できる行事を提案したい」と語っていた。

堺屋太一の「大阪10大名物」構想に対する(ネットでの)反応を見ると、賛否両論(どちらかと言えば、否定的な意見のほうが多い)なのだけど、「税金の無駄遣い」(!)という批判に対しては、「大阪の「10大名物」PT創設へ」(産経ニュース、2012年1月31日)に、「ファンドを創設するなどして、民間からプロジェクト実現に向けた資金を集め、公金は投入しない方法を検討する」(松井一郎大阪府知事)とあるので、そこは論点ではないと思います。また、「(堺屋太一の)発想は時代遅れだ」(!)という批判に対しては、決してそんな事はないと僕は思います。ま、とりあえず、今から「大阪10大名物」構想に関連するいくつかの事項を挙げて、この構想への間口(幅)を広げる事を試みようと思います。興味がある方は(興味がない方も)w、是非、読んでみてください。)

道頓堀川をプールに

上記の表の上から順に書く(下線部のみ)。これは上記のニュースにあるように「水質改善」がネックになると思いますw。おそらく、道頓堀川の上にプールをつくる(道頓堀川暗渠にする)事になるでしょう。僕はとても面白いアイデアだと思います。また更に、道頓堀川にだけではなく、旧淀川堂島川土佐堀川)にもプールをつくったらと良いと思います。イメージがしやすいように具体例を挙げると、デンマークの建築家のビャルケ・インゲルス(Bjarke Ingels*2が設計した「コペンハーゲンのハーバー・バス」(Copenhagen Harbour Baths、2003年竣工、下図)のようなプール(屋外入浴施設)です。詳しくは「Copenhagen Harbour Bath / PLOT」(Archdaily、2009年1月5日)を参照してください(但し、英語です)。これを旧淀川にもつくったら良いと思います。デザインも北欧モダンでとても素敵です。

他には、「都会に必要なのはこんなプールかしら」(ギズモード・ジャパン、2010年8月19日)を参照。これはニューヨークのイースト川マンハッタン島の東側の川)に浮かぶプールの計画案です。あと、「Pierscape / James Corner Field Operations Team」(Archdaily、2012年2月9日)のこの写真も参照。これはシカゴのミシガン湖の湖岸のプールのコンペ案です。ま、これは旧淀川ではなく、ベイエリア咲洲舞洲、等々)につくったほうが良いかも知れません。あと、「Bike The Floating Stadium / Quentin Perchet & Gabriel Scerri」(Archdaily、2012年1月31日)も参照。これはアムステルダム*3北海運河に浮かぶスタジアム(サッカー競技場)ですw。話がどんどん(道頓堀川から)ズレてきているような気もするけど(ワラ)、土地(陸地)の限られた大都市では、これからは水上(川の上、海の上)を有効活用する事が求められるのではないかと思います。また、前々回の「総合特区」の記事で、「特区制度」について少し書いたのだけど、今までは「河川法」や「港湾法」等々の縛りによってできなかった事が「特区制度」(または地方分権)によってできるようになるとも思います。

あと、旧淀川の上に大きないかだ(またはメガフロート)を浮かべて、そこを商業施設にしても良いのではないかと思います。語尾が「思います。」だらけなので、書き直そうかと少し迷ったという話はおいといてw、えーと、僕がイメージしている旧淀川の大きないかだの商業施設は、台湾の「夜市」みたいなアジアンな施設です。また更に、ここを例えば青森県八戸市の「八戸屋台村 みろく横丁」みたいに、若手企業家に出店のチャンスを提供して、自主開業へつなげていくための場所(チャレンジショップ)としても良いのではないかと思います。
話を道頓堀川に戻すとw、冬は、ニューヨークの「ロックフェラーセンターアイススケート・リンク」(下図)のように、道頓堀川を長さ2キロのアイススケート・リンクにすると良い、と思ったのだけど、ニューヨークと大阪では冬の気温が全然違うので、無理でした(ははっ…)。自主的に却下します。ま、いずれにせよ、いろいろなアイデアを出し合う事が大切なのではないかと僕は思います。そのうち0.0001%くらいは万が一で素晴らしい案につながるでしょう(ほんとか?w)。

 

大阪城公園天満公園を結ぶ大歩道橋

うーん、「Google マップ」で調べてみたのだけど、いまいち大阪城公園と天満公園をどのように結ぶのかが分からない。前に(僕の)別ブログの「雑記4」注釈3の記事と「九州新幹線全線開業」注釈4の記事で、「僕は(千葉県)柏市の出身ですが、生まれは「大阪」です。記憶はあらへんけどな。」とか書いたのだけど、大阪の土地勘は全くありません。僕の親戚一同は関西なのだけど、大阪城通天閣も行った事がありません(道頓堀は何度かある)。ま、いずれにせよ、大阪城公園からどこかに「大歩道橋」をかけるという前提で話を進めるけどw、この「大歩道橋」は木造*4でつくったら良いと思います。また更に、前に(僕の)別ブログの「屋根つきの橋-1」の記事と「屋根つきの橋-2」の記事で書いたのだけど、「屋根付橋」(Covered bridge)にすると良いと思います。具体例を挙げると、あのNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」(2009年-2011年)のロケ地になった、愛媛県内子町にある「田丸橋」(下図)です。と言っても、僕は「坂の上の雲」は一度も観ていなかったりするのだけどw、この「田丸橋」を一回り大きくしたような「大歩道橋」をつくったら良いと思います。景観的にも、隣接する大阪城とぴったりマッチするでしょう。しかも、「屋根付橋」は絵になります。そして、絵になるという事は、新しい観光名所になるという事です。世界的に有名な例では、イタリアのヴェネツィアの「リアルト橋」、スイスのルツェルンの「カペル橋」(下図)等々があります。どちらも「屋根付橋」で観光名所です。(但し、「リアルト橋」は石造、「カペル橋」は木造。)

さて、この「大歩道橋」が新しい観光名所になると、たくさんの人々が訪れるようになるので、橋のふもとに商業施設(飲食店、土産物屋、等々)をつくらない手はありません。または、その商業施設の賃料収入によって、「大歩道橋」の建設費や維持費を賄う事を考えてもいいかも知れません。世界的に有名な建築家・都市計画家のレム・コールハースは、著書「コールハースは語る」(2008年)*5で、「(前略)公共のものからプライベートなものへの移行という同じ変化のなかで、空港であれ、教会、美術館、教育機関、ホテル、そして個人邸であれ、人間の活動として知られているあらゆるものにショッピングが浸透しています。そうした活動は、もはやショッピングからの収入なしに想定することも維持することもできなくなっており、一方ショッピングもこうした他の活動とのハイブリッド化なしには成り立たなくなっています。」(P.66-67)と述べています。
僕がイメージしている(橋のふもとの)商業施設は、三重県伊勢市の「おかげ横丁」(→動画)です。ウィキペディアの「おかげ横丁」の項によると、「建設費用の140億円は(中略)、行政から補助金を受けることなく自己資金でまかなった。」との事です。でも、正直に言うと、僕のこのアイデアはパクリのパクリで、「名古屋城正門近くに「おかげ横丁」構想」(中日新聞、2011年10月28日)を前に読んだだけですw。引用すると、「名古屋市名古屋城正門前に城下町を再現した新たな観光施設を建設する構想で、市と愛知県、国などが近く協議会を設置することが分かった。(中略)構想によると、観光施設は三重県伊勢市伊勢神宮参拝とセットでにぎわう「おかげ横丁」がモデル。城下町をイメージした街並みに、みそカツや手羽先など「名古屋めし」を一堂に集めた飲食店や物産店、芝居小屋などをそろえる。名古屋市は民間のアイデアや資金で整備する考えだ。(中略)名古屋城は昨年の年間入場者数が150万人を超えるなど県内有数の観光資源で、名古屋版おかげ横丁はさらなる魅力のアップにつながると期待されている。」との事です。「おかげ横丁」のような商業施設は、大阪城ともマッチするでしょう。

以上、まとめると、「大歩道橋」をただつくるだけではなく、大阪城と「大歩道橋」と橋のふもとの商業施設を一体で構想すると、景観的にも経営的にも、とても良いという事です。あとついでに、ウィキペディアの「名古屋城」の項によると、2009年に「名古屋市河村たかし市長は(中略)、名古屋城天守閣を現在のコンクリート造から木造に建て直すことを本格的に検討すると発表した。」との事です。関連して、「見えてきた…東京駅の復元ドーム」(読売新聞、2012年2月15日)も参照。このような都市戦略(都市のブランディング)は今後ますます重要になってくるでしょう。とりあえず、以上です。

 

堺屋太一の「大阪10大名物」についてのメモ書き-2」の記事に続く。と言っても、次書けるのがいつになるかは分からない(ワラ)。ではまたw。


【追記】

本ブログの「木々の家、ガルウィングの家」の記事の後半の「前々回の記事の補足」に少し続く。

*1:(僕の)別ブログの「雑記4」、「クルーグマン」、本ブログの「体制維新――大阪都」、「総合特区」の記事参照(橋下徹

*2:(僕の)別ブログの「十九世紀の罠-2」(→動画)、「ハイブリッド世界の本質-2」(→動画)、本ブログの「Valentine House (バレンタインの家)」注釈4(→動画)の記事参照(ビャルケ・インゲルス、BIG(Bjarke Ingels Group))

*3:(僕の)別ブログの「メモ-2」追記2(→動画)の記事参照(アムステルダム

*4:(僕の)別ブログの「表記9」(「木造4階建て」)、「H&Mモデル」追記(「木造高層ビル」)、「情報化を経ることで新しい発動を見せるのだ」(「新しい都市(副首都)の建築物を、全て「木造」で造ればいい」)、「森の木琴」(→動画)の記事参照(木造)。関連して、「4.5億円木造校舎があっという間に…耐火基準検証」(テレ朝news、2012年2月22日、→動画)も参照。引用すると、「学校の校舎の耐火基準の緩和を目的に、校舎に見立てた建物を燃やす実験が行われました。実験は、3階建ての校舎にも木材を利用しようという動きが進むなか、実際に木造の校舎に見立てた建物で火災を起こし、児童らが安全に避難できるのか検証する目的で行われました。政府は3階建ての木造校舎の耐火基準は厳し過ぎるとして、基準の引き下げをすでに決めています。実験では、炎は30分ほどで全体に燃え広がり、1時間半ほどで建物のほとんどが崩れ落ちました。今回の実験には約4億5000万円の費用がかかっています。国土交通省は、来年度も同じような実験を行うことにしています。」

*5:(僕の)別ブログの「雑記6」、「理想都市」、「ハイブリッド世界の本質」注釈2と注釈3、「ハイブリッド世界の本質-2」注釈17、「物憂げな6月の雨に打たれて」注釈10、「九州新幹線全線開業」注釈5、「都市の非能率性と非実用性」注釈3、本ブログの「鉄道の未来学――幹線の鉄道の未来」の記事参照(同書)。あと、(僕の)別ブログの「都市の原理」(→動画?)の記事参照