【都会の歩行者へ】救急車が来たら道をあけましょう

 
YouTubeにアップロードされていた動画(2012年2月26日、sandabeeさん)です(→下の動画)。


私は主に、国民の生命と財産を守る消防・警察の活動を紹介するため、機会ある毎に撮影をしていました。
動画には「緊急走行救急車」などというタイトルをつけていましたが、車両や歩行者が緊急車両に進路を譲らなかったり、赤信号で渡るなど交通法規を無視する場面を目の当たり­にし、人々に「捕まらなければOK」のような風潮が蔓延しているのではと危惧していました。
そして、それが危機感に変わってからは、ありのままのタイトルをつけています。

ここに映るのは、この地域に住む人だけとは限りません。
この動画を見た方が、国や地域を非難するのではなく、これを他山の石とし、より良い社会のために何が出来るか考えて頂けたらと思います。

(sandabeeさん)

撮影された場所は渋谷スクランブル交差点の側ですね。皆さん、救急車が来たら道をあけましょう。

とりあえず、以上です。

ま、前に本ブログの「電車内のベビーカー利用の賛否」の記事と、前回の「救急搬送の都道府県別所要時間の謎」の記事で、「「救急搬送に最大24分の地域差 09年、都道府県統計」(共同通信、2010年12月3日)によると、「通報を受けてから救急車で患者を搬送、医療機関に収容するまでにかかった時間は、2009年の都道府県別平均で、東京が51・8分と最も長く、最短の福岡より24・2分も遅いことが(中略)総務省消防庁の救急統計で分かった。(中略)東京については「人口1万人当たりの出動件数が多いのに加え、交通事情の悪さや搬送先病院の選定に時間がかかっていることなどが要因となった可能性がある」とみている。(後略)」との事です」と書いたのだけど、今回の記事は、これとの関連です。

一般的に、「都市部(都市圏)では救急搬送の所要時間が長くて、地方部では短い」傾向にある理由を、(ネットで)簡単に調べてみたのだけど、まず第一に、都市部(とくに東京)は道路事情が悪すぎるのです。それに対して、地方部では道路が充実しているのです。前に本ブログの「東京は最大都市規模を超過しているのか」の記事で書いたのだけど、自民党石原伸晃幹事長は、大臣時代(2001年10月)に「北海道の道路は車が走っている数よりヒグマが走っている数のほうが多い」と発言して物議をかもしたり、東京都知事石原慎太郎も、2005年11月に「夜は鹿か熊しか通らぬ高速道路があちこちの田舎に出来上がった。」と述べているのだけど、地方の土木(と建築)の事業への「バラマキ行政」が結果として地方部での救急搬送の所要時間の短縮にプラスになっている事は否定できないのではないかなと思います。

第二に、都市部では(上記の動画にあるように)歩行者が多い、更には、自転車が多い、交差点や信号機も多い、等々の都市を構成している要素の「複雑さ」が増すために、不可避的に救急搬送の所要時間は長くなってしまうのです。自動車であれば、救急車が来たら、ほとんどの自動車がさっと避けて(救急車に道をあけて)停車するという最高レベルのマナーを、ほとんどのドライバーが発揮している(民度が高い)のだけど、なぜそれが(上記の動画にあるように)歩行者にはできないのかと言えば、それは単純に歩行者に「認知」がされていないからだと思います。ま、要するに、(歩行者の民度が低いからではなくて)、救急車が来たら道をあけたほうが社会全体にとってプラスになるという事を歩行者は「よく知らない」からだと思うのです。と言うわけで、歩行者の皆さん、救急車が来たら道をあけましょう。

そして第三に、前に本ブログの「電車内のベビーカー利用の賛否」の記事で、「ま、たまに、東京には「病院がたくさんあるから安心である」と言う方を見かけるのだけど、ま、確かにそれは一理はある(例えば、病院がたくさんあると、患者(客)は病院を「選択」できるようになるので、病院の技術やサービスが向上する、等々)」と書いたのだけど、逆にその事が仇となっているのです。つまり、都市部には「病院がたくさんある」がゆえに、病院側が救急搬送の患者を「たらい回し」にしてしまうのです。それに対して、地方部ではその地域には大きな病院(中央病院)は一つしかなかったりするので、そこが救急搬送の患者の絶対的な受け入れ先となっているのです。ま、要するに、そこしかないので、病院が断る事はないのです。もちろん、これはその地方の病院(中央病院)にとっては大きな負担になっているかも知れないのだけど、患者の側(または私たち)から見たら、これほどありがたい事(安心できる事)はないでしょう。いずれにせよ、都市部においては、この「たらい回し」を抑制する何らかのシステム(またはルール)を構築すべきでしょう。ネット上でも、この「たらい回し」をされた患者の怒りや苦情、更には、この「たらい回し」をされなければ命が助かったかも知れない家族(や友人)へのご無念の思い、等々がとても多いです。。

あと、他には、都市部では急激に「高齢化」が進んでいる事もあげられます。都市部(とくに東京)での救急搬送の出動件数は、「高齢化」に伴って、これから間違いなく急激に増えるでしょう。それに対して、地方部では「高齢化」は70年代に始まったので、ピークは既に過ぎているのです。詳しくは、前に(僕の)別ブログの「Star House (星型の家)」の記事で書いた、松谷明彦著「人口減少時代の大都市経済――価値転換への選択」(2010年)を参照。いずれにせよ、前述の本ブログの「電車内のベビーカー利用の賛否」の記事で書いたように、これらの情報をきちんと認知した上で、自分(や家族)はどこに住むかを自らの判断で「選択」すべきです。ではまた。