救急搬送の都道府県別所要時間の謎

 
前々回の「電車内のベビーカー利用の賛否」の記事の追記で、「「救急搬送に最大24分の地域差 09年、都道府県統計」(共同通信、2010年12月3日)によると、「通報を受けてから救急車で患者を搬送、医療機関に収容するまでにかかった時間は、2009年の都道府県別平均で、東京が51・8分と最も長く、最短の福岡より24・2分も遅いことが(中略)総務省消防庁の救急統計で分かった。(中略)東京については「人口1万人当たりの出動件数が多いのに加え、交通事情の悪さや搬送先病院の選定に時間がかかっていることなどが要因となった可能性がある」とみている。(後略)」との事です」と書いたのだけど、ネットで簡単に調べてみた。

「救急・救助の現況」(総務省消防庁、2006年、→PDFファイル)の「収容所要時間別搬送人員の状況」(P.64、別表8の1、下図)より。

一応、表右の赤印はワースト5位の都道府県、青印はベスト5位です。この印は僕が入れてみたw。

救急搬送の所要時間が長い都道府県は、第1位は東京都(43.2分)、第2位は宮城県(34.3分)、第3位は岩手県と埼玉県(33.8分)、第5位は千葉県(33.7分)、第6位は新潟県(33.3分)、第7位は福島県(33.4分)、第8位は奈良県(32.6分)、第9位は栃木県(31.9分)、第10位は島根県(31.9分)です。救急搬送の所要時間が短い都道府県は、第1位は石川県(24.0分)、第2位は香川県(24.2分)、第3位は大阪府(24.7分)、第4位は京都府(25.0分)、第5位は富山県(25.6分)、第6位は福岡県(25.9分)、第7位は徳島県(26.3分)、第8位は福井県(26.6分)、第9位は長崎県(26.7分)、第10位は兵庫県(26.8分)です。

てっきり、人口密度の高い都市部(都市圏)では救急搬送の所要時間が長くて、地方部では短いと思っていたのだけど、なぜか「西高東低」(西日本では所要時間が短く、東日本では長い)でした。意味が分かりません。謎です。「都市論」的には、こういうのはとても困ります(ははっw)。人口密度と所要時間は比例していて欲しかった(と言うか、今回はそういうブログ記事を書くつもりだったw)。意外です。西日本と東日本では「気質」が違うかな?

うーん。

以上ですw。

関連して、前に本ブログの「2020年の東京」の記事に載せた、「高速道路無料化」の社会実験の結果(「実験開始後の6カ間の状況」、国交省、2011年3月3日)については、えーと、ま、そのうち書きます(おいおいw)。これも少し意外な結果だったのです。前に(僕の)別ブログの「メモ-5」の記事で、「週刊東洋経済 「鉄道」新世紀」(2010年4月3日)から、「(前略)とりわけ厳しい状況に追い込まれているのが地方の鉄道である。(中略)道路の整備が進み自家用車やバスが便利になったことも鉄道離れに拍車をかけた。(中略)この動きに民主党政権の公約である高速道路の無料化政策が追い討ちをかける。(中略)地方鉄道の息の根を止める結果にもなりかねない。」(P.46)の部分を引用したのだけど、実験結果によると、じつは鉄道には全く影響がなかったのです。不思議です。これも謎です。

あと、前に本ブログの「コンパクトシティは地球に優しくない、エネルギーの無駄遣い」の記事で、今年の「(前略)通常国会で制定される「交通基本法」についてちょっと勉強しておこうと思ったからなのだけど、もしかしたら制定されないかも知れません(ははっw)。」とか書いたのだけど、本当に制定されないかも知れません。フェイスブックの「交通基本法(案)の現状について、下記の情報が転送されてきました。」(2012年9月5日、山名勝)を参照。うーん。「高速道路無料化」をマニフェストに掲げていた政党がなぜ「交通基本法」を制定できないのか。これも謎ですw。ではまた。

【追記】

通常国会が事実上閉会、法案成立率は66・3%」(読売新聞、2012年9月7日)によると、「第180通常国会は7日、衆参両院の本会議で閉会中審査の手続きなどを行い、8日の会期末を前に事実上閉会した。」との事でした。残念ながら、上記の「交通基本法」は制定されず、継続審議扱いになったようです。うーん。「国会閉会 決められぬ政治に地方いら立ち」(河北新報、2012年9月9日)も参照。